「次世代軽バンの新基準を創る」をコンセプトに開発されたホンダの新たな軽商用車新型Nバン(N-VAN)が、2018年7月にデビューをしました。
今回新発売された新型モデルは軽商用バンとしては初めて”センターピラーレス機構”を採用するなど、従来のモデルとは一線を画したデザインに…。そのおかげもあり、売れ行きも好調で、納期・納車待ちもビックリするくらい長くなっていました。
>>> ピラーレスを採用した新型Nバンのスライドドア【広さ&乗降性はどうだった?】
ただ、その一方、今回新発売されたこの新型モデルを試乗した際、5ナンバー一般軽自動車に遠く及ばないと感じる部分も…。
2018年7月にデビューをしたホンダの新型商用バン”新型Nバン(N-VAN)”を試乗した際に気になった欠点・デメリットは、何だったのでしょうか?また、ベースとなっている新型Nボックスと比較して、どこに物足りなさを感じたのでしょうか?
ホンダのNシリーズに新たに加わった新型Nバン(N-VAN)の欠点・不満を包み隠さず紹介したいと思います。
目次
新型Nバンの欠点&不満1:運転席以外のの座り心地
今回新発売された新型Nバン(N-VAN)の欠点の一つが、運転席以外のシート(助手席&後部座席)の座り心地です。
運転席に関しては、ホンダの人気軽自動車Nボックス(N-BOX)のシートと同じ骨格を採用しており、サイドサポート&ホールド力もしっかりとしているため、座り心地はかなり良いです。見た目はかなりシンプルですが…。
■新型Nバンの運転席
ただ、この新型モデルの助手席や後部座席は、このように簡易的な作りになっているため、クッション性も悪く、長時間ドライブには不向きなシートレイアウトとなっていました。
■新型Nバンの助手席
■新型Nバンの後部座席
新型Nバンの助手席の座り心地は?
新型Nバン(N-VAN)の助手席は、足元の広さを調節できるシートスライド機能が用意されていないものの、足元空間(ニークリアランス)が元から十分に確保されています。
また、背もたれの角度を調節できるリクライニング機能も用意されているため、クッションの固ささえ我慢すれば、何とか座る事ができます。
■新型Nバンの助手席の背もたれをリクライニングした時の様子
ただ、それでもこの新型モデルの助手席は、短距離ドライブ専用のシートと割り切った方が良いのかなと思いました。
>>> 新型Nバンの助手席は前後にスライドできる?足元の広さを確認してきた
後部座席の座り心地は助手席よりもさらに悪い!?
この新型Nバン(N-VAN)の助手席の座り心地はあまり良いとは言えませんでしたが、助手席の座り心地はさらに劣ります。
まず初めに私が気になったのは、後部座席の足元空間(ニークリアランス)の広さです。
今回新発売されたこのホンダの軽商用バンは、荷室・ラゲッジスペースの奥行きを最優先したために、ベースとなっているNボックス(N-BOX)よりも後部座席が前方に設定されています。
そのため、身長175cmある私がこの新型モデルの後部座席に座ると、足元空間(ニークリアランス)にほとんどゆとりが無く窮屈さを感じました。
また、この新型モデルの後部座席は、シートサイズも小さく、背もたれの角度を調節できるリクライニング機能も用意されていません。なので、座り心地は、助手席以下です。
もし後部座席の快適性・座り心地の良さを求めるのなら、簡易シートのような作りになっている新型Nバン(N-VAN)よりも、新型Nボックス(N-BOX)のような5ナンバー軽自動車の方が良いのかなと思いました。
ちなみに、こちらの記事では、この新型モデルの足元空間の広さを計測結果など、この新型モデルの後部座席の居住性について、さらに詳しく書いてあります。
もし、この新型モデルの足元空間の広さや居住性について、詳しく知りたい方は、コチラの記事を参考にしてみてくださいね。
>>> 新型Nバンの後部座席の足元空間は狭い!?居住性&快適性インプレッション
新型Nバンの欠点&不満2:価格設定
また、価格設定も、新型Nバン(N-VAN)の欠点・デメリットの一つです。
今回新発売されたこの新型軽商用バンは、ホンダの最新の安全装備”ホンダセンシング(HONDA SENSING)”や前走車に追従するアダプティブクルーズコントロール(ACC)が標準装備されている事もあり、競合車・ライバル車よりも価格設定は高めになっています。
■新型Nバンと競合車の価格比較
・ホンダ 新型Nバン
グレード:Lホンダセンシング(FF/CVT)
車体本体価格:134万1360円
・スズキ エブリイ
グレード:PA(2WD/5AGS)
車体本体価格:103万1400円
・ダイハツ ハイゼットカーゴ
グレード:デラックスSA 3
車体本体価格:115万5600円
機能や装備を考えると、競合車・ライバル車よりも高い価格設定になっているのは仕方ないのですが、私が気になったのは、上位モデルの”+スタイル ファン(STYLE FUN)”と”+スタイル クール(STYLE COOL)”の価格設定です。
キュートで親しみやすいデザインが特徴の”+スタイル ファン(STYLE FUN)”は、1,945mmあるハイルーフ仕様となっています。
■新型Nバン”+スタイル ファン”の外装
また、今回新発売された新型モデルは、3つのスタイルを用意しているのですが、この”+スタイル ファン(STYLE FUN)”のみLEDのヘッドライトを採用しています。
一方、スタイリッシュさが特徴の”+スタイル クール(STYLE COOL)”は、他のモデルよりも全高が低いロールーフ仕様となっています。
■新型Nバン”+スタイル クール”の外装
また、ヘッドライトもLEDではなく、ハロゲンとなっています。
このように”+スタイル クール(STYLE COOL)”は、”+スタイル ファン(STYLE FUN)”よりも全高が低く、また、ヘッドライトもハロゲンを使用しているのにも関わらず、車体本体価格は、全く同じになっていおります。
■新型Nバンの”ファン”と”クール”の車体本体価格
+スタイル ファン(FF/CVT車)
車体本体価格:166万8600円
+スタイル クール(FF/CVT車)
車体本体価格:166万8600円
“+スタイル クール(STYLE COOL)”は、クローム調のフロントグリルや大型のテールゲートスポイラーなど、他のモデルには用意されていない様々な専用装備を備えているのが、魅力の一つです。
>>> 他とは何が違う!?新型Nバン クールの外装の4つの専用装備とは?
ただ、個人的には、”+スタイル クール(STYLE COOL)”よりもLEDヘッドライトを標準装備していて、先進的なデザインになっている”+スタイル ファン(STYLE FUN)”の方がお得感があるのかなと感じました。
新型Nバンの欠点&不満3:機能や装備の物足りなさ
先ほども紹介したとおり、この新型Nバン(N-VAN)は、ホンダの最新の安全装備システム”ホンダセンシング(HONDA SENSING)”が標準装備されるなど、軽商用バンとしては、十分すぎるほど機能や装備は充実しています。
また、センターピラーを活かした広いスライドドア開口部や助手席まで収納できる広い荷室・ラゲッジスペースなど、他の軽商用バンには無い機能や装備が盛り沢山です。
■新型Nバンの助手席側スライドドア
ただ、5ナンバーの軽自動車と比較すると、新型Nバン(N-VAN)の機能や装備はやはり見劣りをします。
例えば、この新型モデルでは、ワンタッチでスライドドアが開閉する”パワースライド”は、オプションでも用意されていません。
なので、すべて手動でスライドドアを開け閉めしないといけません。
しかも、センターピラーを採用している助手席側のスライドドアは、強度を高くしているため、開け閉めをする際、競合車・ライバル車よりも重さを感じます。
また、新型Nバン(N-VAN)の上位モデルの”+スタイル系”では、後部座席横のサイドウィンドウに室内を換気したい時に役に立つ”ポップアップウィンドウ”を標準装備していました。
■新型Nバンのポップアップウィンドウ
しかし、下位モデルの”標準車”のサイドウィンドウは、はめ込み式となっており、開け閉めをする事ができません。
■新型Nバン標準モデルのサイドウィンドウ
これはちょっと残念ですよね。
このように5ナンバー軽自動車と比較すると、機能や装備が見劣りするのは、新型Nバン(N-VAN)の欠点・デメリットの一つなのかなと思いました。
2018年7月にデビューをしたホンダの軽商用車”新型Nバン(N-VAN)”は様々な魅力がある一方、このような欠点・デメリットが目につきました。
その中でも私が特に気になったのは、後部座席や助手席の座り心地です。
今回新発売された新型モデルは、後部座席や助手席の座り心地があまり良く無いので、新型Nボックス(N-BOX)のようにファミリーカーとして使用するのは、ちょっと難しいのかなと思いました。
また、個人的には、現在、新型Nバン(N-VAN)の納期・納車待ちが長くなっているのも、少々気になりました。